InGaAs/GaAs 面発光レーザの特徴は?

面発光レーザの 基本的な構造  InGaAs/GaAs面発光レーザの構造  我々のグループの特徴

面発光レーザは基本的に図1のような構造をしている.

図1 面発光レーザの基本構造図

 

中心にレーザの光を放出する元となる活性層があり,その上下に屈折率の

違う材料を交互に積み重ねていき99%以上の高い反射率を有する多層膜反射鏡(DBR)が

存在する.活性層から出た光がこの上下の反射鏡で反射されながら増幅され光が

外へ出射する.これが,基本的な動作原理であるが,加えて,電流や光を一部に閉

じ込めて動作電流を低減する方法が必要となってくる.

 

実際の我々のグループのInGaAs/GaAs面発光レーザの構造は図2の様になっている.

図2 InGaAs/GaAs面発光レーザの構造図

 

このInGaAs/GaAs面発光レーザの特徴は,DBR中の2つの異なる屈折率材料のひとつである

AlAsを水蒸気によって酸化することができることにある.酸化するとその部分は電流が流れない

様になり,横から部分的に酸化してやることによって,電流が局所的に流れるようにすることが

可能となる.これは,同時に光閉じこめとしての効果もあり,この構造によってInGaAs/GaAs

面発光レーザは,他の波長の面発光レーザに比べてきわめて低い動作電流や,強い光出力などを

実現することが可能となった.

 

我々のグループの大きな特徴として傾斜GaAs基板を用いていることがある.傾斜基板とは図3の

ように通常の平な結晶面に比べて斜めになっている.

図3 傾斜基板

 

この傾斜基板を使うメリットはレーザの偏波を安定化することができることにある.

レーザには,動作モードと呼ばれる様々な動作の状態が存在する.

動作モードは主に縦モード,横モード,偏波モードの3つに分けることができ,この

全てがひとつのモードで動作することが望まれる.(CDのピックアップのようなものは例外)

面発光レーザでは縦モードは構造上,単一モードで動作する.横モードは電流が流れる

領域径を小さくすることによって可能になる.しかし,偏波モードを安定化することは

困難であるといわれてきた.それは,面発光レーザは対称構造をしいるため,どちらの方向の

偏波も対称に出射するためである.それを解決するために,様々な構造が提案されてきた.

我々は,日立の大歳らによって明らかにされた,傾斜基板上の量子井戸からの発光は直交

方向に対して,非対称性をもつことに注目,これを研究し昨年,ついに発振に至った.

現在はそれを更に最適化し,通常基板上の面発光レーザに比肩する面発光レーザを製作するに

いたっている.

 

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